AGA治療薬は薄毛治療の王道ですが、残念ながら万能ではありません。進行度合いが進みすぎて毛根が死滅してしまっている場合や、体質的に薬が効きにくい場合、内服薬だけでは満足のいく結果が得られないことがあります。半年、一年と薬を飲み続けても頭頂部が埋まらない、M字部分の産毛が育たない。そんな壁にぶつかった時、諦めるのはまだ早いです。現代医療には、内服薬の限界を突破するための「次なる一手」が用意されています。薬の次に検討されるのが「注入治療(メソセラピー)」です。これは、成長因子(グロースファクター)やミノキシジルなどの有効成分を、注射器や特殊なレーザー機器を使って頭皮に直接注入する治療法です。内服薬が血液を通して間接的に栄養を届けるのに対し、注入治療は患部にダイレクトに成分を打ち込むため、即効性と高い発毛効果が期待できます。特に飲み薬では効果が出にくい生え際などの局所的な薄毛に対して有効なオプションとなります。費用は高額になりますが、ブースターとして短期間だけ利用する人も多いです。さらに確実な方法として「自毛植毛」があります。これは後頭部などのAGAの影響を受けにくい元気な毛根を採取し、薄くなった部分に移植する外科手術です。移植された髪は、定着すればその後は普通の髪として生え変わり続け、メンテナンスも不要になります。自分の髪なので拒絶反応もなく、仕上がりも自然です。かつては高額で傷跡が残るイメージでしたが、技術の進歩により、メスを使わずに毛根単位で採取するFUE法などが主流となり、身体への負担も軽減されています。薬で全体を維持しつつ、どうしても生えないM字部分だけ植毛で埋めるというハイブリッドな治療を行う人が増えています。また、医療行為ではありませんが、「ヘアアートメイク」という選択肢も注目されています。これは頭皮にドット状の色素を注入し、まるで短い髪が生えているかのように見せる技術です。実際に髪が生えるわけではありませんが、地肌の透け感を物理的に消すことができるため、即効性は最強です。植毛や薬の効果が出るまでの繋ぎとして、あるいは坊主スタイルをお洒落に見せるために利用されます。AGA治療は「薬を飲むか、諦めるか」の二択ではありません。薬はあくまでベースキャンプであり、そこからさらに高みを目指すための登山ルートはいくつも存在します。自分の薄毛の状態、予算、そしてどこまで回復させたいかというゴールに合わせて、医師と相談しながら最適な組み合わせを見つけること。それが、フサフサな未来を勝ち取るための最終戦略です。一つの方法に固執せず、柔軟に選択肢を広げれば、解決できない薄毛の悩みはほとんどないと言える時代なのです。
内服薬だけで生えない時の次なる一手